日本の対外戦争と世界の情勢

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zoom RSS 田母神氏更迭は言論弾圧か?

<<   作成日時 : 2008/11/14 14:32   >>

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第 29 代航空幕僚長田母神俊雄氏は,旧日本政府・軍部の行った昭和戦争は侵略戦争ではない,という趣旨の懸賞論文を元谷外志雄代表のアバグループ:
http://www.apa.co.jp/outline/outline04.html
の「真の近現代史観」懸賞論文:
http://www.apa.co.jp/book_report/index.html
として,提出しました。この懸賞論文の審査委員会委員長は渡部昇一氏:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A1%E9%83%A8%E6%98%87%E4%B8%80
です。

2008(H20) 年 11 月 11 日,参議院外交防衛委員会は,田母神氏を参考人招致しました。現行憲法について,見解を問われ,田母神氏は,「国を守ることについて,これほど意見が割れるものは直したほうがいい。」と主張したとのことです。
委員会終了後,「(侵略戦争への反省を表明した)村山談話の正体が今回わかった。言論弾圧の道具だ,あれは。」と報道陣に語ったとのことです。
また,「自分の国を悪い国だったと言って解任される例は世界にいっぱいあると思うが,自分の国をいい国だったと言って解任される例はほとんどないんじゃないかと思う。」とも語ったそうであります。

旧日本政府・軍部の行った昭和戦争は連合国への無条件降伏という最悪の結果を日本国にもたらしました。今更,連合国がなお世界の覇権を握るこの状況下で,昭和戦争は侵略戦争でなかったと日本人が主張したのでは,「日本人は二枚舌を使っている。」と世界中が判断するということになり,諸外国の日本に対する不信感を更に増大させるだけであります。その結果として,日本国は国益を大いに損なうことになると言わなければなりません。田母神氏の懸賞論文応募には問題点が多々ありますが,国益を損ったというこの一点だけででも,田母神氏の更迭は当然のこと,と私は思います。

田母神氏は,自衛官にも言論の自由がある,村山談話は言論弾圧だ,との信念をお持ちのようでありますが,田母神氏は旧日本政府・軍部の行った言論弾圧についても十分ご存じのことかと思います。
例えば,「蟹工船」の作者小林多喜二:(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E5%A4%9A%E5%96%9C%E4%BA%8C
は共産主義者として,特高警察の拷問を受け,警察署から病院に移された後,死去しました。
又,横浜事件:(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E4%BA%8B%E4%BB%B6
と呼ばれる事件は,1942 年雑誌『改造』の記事に関連して,執筆者が新聞紙法違反で,更に,これを発端に編集者、新聞記者ら約60人が神奈川県警察特別高等警察課によって治安維持法違反で逮捕された言論弾圧事件であります。この事件では 4 人の被疑者が獄死,約 30 人が 1945 年終戦直後の,そして治安維持法廃止直前に有罪判決を受けました。裁判記録は殆ど全て裁判関係者によって焼却されたとされています。焼却の理由は,横浜事件の裁判記録が,連合国に取って極東国際軍事裁判で旧日本政府・軍部の犯罪性を示す絶好の証拠として利用可能であったからでありましょう。現在なお,この事件を巡っては有罪判決を受けた関係者・遺族が,冤罪事件として無罪判決を求め, 2008 年 10 月時点において裁判で係争中であります。

このような新聞紙法や治安維持法で言論弾圧を行った旧日本政府・軍部を擁護されようとする田母神氏が,現在の平和的民主主義国家日本は言論弾圧を行っていると主張するかのような言動をされる点については,私は疑問を感じざるを得ません。

田母神氏は「日本は良い国だった。」と言って解任されたのではありません。「(侵略戦争を行った旧日本政府・軍部の統治した)昔の日本国は良い国で,(侵略戦争を反省して平和的民主主義国家となった)今の日本は悪い国だ。」と言ったから,部下・職員達に見送られることもなく,定年退職で職場を去らなければならなかったのでしょう。

部下・職員達の見送りもなく,職場のトップが定年退職で職場を去ることの寂しさは私も理解します。しかし,田母神氏は,自衛隊幹部として不適切な言動をしたことによって懲罰を受けるべきだという意見がある中で,航空幕僚長職を更迭されるだけで済み,なお,自衛隊幹部として多額の退職金を手にし,高額の年金暮らしができるよう定年退職したいという氏の期待に応えてくれた「言論の自由」を尊重する今の日本国に対して,感謝すべきである,と私は言いたいです。
(記入:08/11/14 14:15 藍愛和)

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コメント(17件)

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 貴ブログを興味深く拝見しています。
 さて、この記事は、田母神前空幕長が「言論の自由」により悠々自適の退職金生活が出来たのだとの主張ということでしょうか。この主張は、藍愛和さんの少々ひねった皮肉と受け取ってよろしいでしょうか。田母神氏は「言論の自由」の意味を誤解しています。彼を参考人招致した国会議員たちも「言論の自由」の意味をわかっていないような感想を持ちました。
民主主義者
2008/11/30 17:37
民主主義者さん,今日は。

コメント有り難うございます。
田母神氏が「日本国に言論弾圧がある。」と主張したにもかかわらず,日本国政府は「言論・思想は個人の自由である。」と考えたが故に,更迭という人事異動のみの処置で済ませたのではなかろうか。

こう考えれば,更迭のみの処置が田母神氏にとっては最も強力な反論になっている,と私は考えたいのです。
藍愛和
2008/12/01 14:42
 成程。藍愛和さんの主張はわかりました。「言論の自由」は個人としての国民が国家から言論を統制されないという意味であるにもかかわらず、田母神氏は、自衛官に「言論の自由」を認めろといっています。自衛官その他の公的な立場にあるものは、いわば、国家側の立場にあるので、その主張は成り立ちません。彼には「公」の概念が欠落しています。問題は、彼の自由という観念の乱用とその発言の無責任さです。
民主主義者
2008/12/01 19:18
>彼には「公」の概念が欠落しています。問題は、彼の自由という観念の乱用とその発言の無責任さです。

成る程,御教示ありがとうございます。私の言っている事は,素人の独断と偏見です。話が込み入ってきますと,可能な限り,資料を調べることにしています。
今回,「言論の自由」について,インターネットで検索して,内田樹氏のブログを見つけました。
「言論の自由について」
http://blog.tatsuru.com/2008/04/05_0954.php
藍愛和
2008/12/03 11:41
最近のメディアの報道によりますと,田母神氏は,あちらこちらと引っ張りだこの人気者になっているようであります。氏はそこで,
「自分の論文は正しい。」
「自分の主張は 60 %(?)の人によって支持されている。」
「自分は長く国家のために働いてきたのだから,退職金は貰うつもりである。」
と言っています。

田母神氏は,懸賞論文で,連合国の昭和の戦争に対する正当性を否定して,連合国の日本に対する不信感を増大させることになり,日本の国益を大いに損ないました。その罪は永年の公務員としての国家に対する功績を帳消ししても尚足りないほどに大きいと思います。退職金は日本国民の寛容さの現れと考えるべきなのでは。
田母神氏は自分の主張の正しさを支持者が多いことに求めています。ロシア革命の指導者レーニンはボリシェヴィキ(多数派)を名乗り,今だにそのように呼ばれています。レーニンは,しかし,国民全体の多数派の指導者になったのではなく,再建されたばかりの,一政治団体である,ロシア社会民主労働党の一部多数派の指導者になったに過ぎません。 60 % と言うとき,その分母が何かが大切でしょう。
藍愛和
2008/12/08 14:09
 藍愛和さん、こんにちは。
 自衛隊のために日本国家があるのではなく、日本政府があるのでもなく、いわんや日本国民があるのではないにもかかわらず、田母神氏は自衛隊をこれらの上位に置きました。そして、そのために歴史を欺瞞しました。自衛隊のための歴史の欺瞞を、「表現の自由」・「言論の自由」・「学問の自由」を方便に正当化したのです。彼は、自由の意味をまったくわかっていません。
民主主義者
2008/12/11 18:17
民主主義者さん,今日は。

お説ご尤もです。

日本は大和朝廷がほぼ全国を統一した西暦 300AD 以来,今日 2008 年までおよそ 1,700 年間の内,平安時代(西暦801AD-1191AD)のおよそ 400 年間を除いて, 1,300 年間は武士勢力,乃至士族階級が日本国を統治した,と私は考えています。
明治維新は薩長士族らによる革命運動であり,明治以来の日本国は士族階級がその主導権を握っていたが故に,植民地主義的軍部独裁制国家となった,と私は思います。
(続く)
藍愛和
2008/12/13 14:43
(続き)
小泉純一郎首相が郵政民営化を断行するまで,特定郵便局長については,
「だが、特定郵便局長は公募がほとんどなく、事実上特定の関係者(主に局長の親族)しか知り得なかったこと、自営業としての性格も持っていたことから、公職の世襲という指摘がなされてきた。(Wikipedia:[特定郵便局長] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%83%B5%E4%BE%BF%E5%B1%80)」
ということであります。そして,その局長には明治維新で禄を失った旧士族が多く選ばれたと言われています。(続く)
藍愛和
2008/12/13 14:45
(続き)
自衛隊の地位をより高いものにしたい,という一部の人達が隠然たる勢力を現在の民主主義国家日本において持っていることは間違い有りません。この問題を一片の法律や主義・主張で片付けることは出来ないでしょう。文民統制というのは,国民各自が自分の生活を懸けて,即ち,一所懸命に守らなければ,ならないものだ,と私は考えます。そのための手段としては,私達国民はもっと政治に関与し,投票に行くことは勿論,選挙運動にも積極的に参加する必要があるのではないでしょうか。
21 世紀の大恐慌の現在こそ,日本国民の資質を世界のリーダーたり得るまでに,高めなければならないときでありましょう。旧日本政府・軍部を賛美するなどということは,世界中の憎悪と軽蔑を招くだけでありましょう。
藍愛和
2008/12/13 14:46
 藍愛和さん。こんにちは。もう一つ、田母神氏の「作文」(私は、彼の「論文」が非学問的なものなので作文とします。)に東京裁判のマインドコントロール云々とあり、それについて言いたいことがあります。それは、東京裁判を否定する者に限って東京裁判を肯定しているという点です。政治や歴史を語るブログ・ウェッブサイトや安易な保守系雑誌には「東京裁判史観」なる語も乱発されています。東京裁判史観に「毒されている」(否定論者が勝手に想定する「肯定論者」(実は積極的肯定論者はいませんが…)を非難する時の常套句)ものはむしろ彼ら東京裁判否定論者です。彼らはその自己矛盾を恐らく気づかないでいるか、気づいていた上で東京裁判を恣意的に自己の主張に利用しています。
民主主義者
2008/12/27 11:19
民主主義者さん,今日は。
>東京裁判史観に「毒されている」ものはむしろ彼ら東京裁判否定論者です。

そのようにお考えになった根拠を具体的に提示して頂ければ有り難いのですが。
藍愛和
2009/01/03 06:42
 藍愛和さん。こんにちは。私はこんな風に考えています。
 ネット・ブログ等で見る限り「東京裁判」を否定する者は、その否定の根拠として、平和に対する罪と人道に対する罪は事後法だから東京裁判は無効であると言っています。私も東京裁判に問題があると思っていますが、彼らが掲げるその理由は、「事後法」の一点張りで、それでは、言葉は悪いですがまるでバカの一つ覚えです。
確かに「事後法」云々を持ち出せば、東京裁判は不成立です。ならば、東京裁判のコンテクストに左右されずにアジア・太平洋戦争を論ずればよいだけです。私は、「東京裁判史観」という「史観」を認めません。特定の裁判でアジア・太平洋戦争の歴史を見ようとするのは史観の高みにはのぼらないからです。「東京裁判で示された歴史認識」というべきでしょう。
民主主義者
2009/01/04 07:52
 続きます。
 さて、その歴史認識では被告サイドから国家弁護論が展開されました。アジア・太平洋戦争は自衛戦争だというのです。裁判を否定するなら侵略戦争を自衛戦争だとする「国家の弁明」も否定すればよいものを、「東京裁判」を否定する者は、アジア・太平洋戦争を侵略戦争の対概念としての自衛戦争と言いたい為に、そしてアジア・太平洋戦争を国家の論理として語りたいがために「東京裁判」を持ち出すのです。「東京裁判」こそ饒舌に戦争を国家の論理のみで語っているからです。事後法の法理で裁判をしているとして東京裁判を否定しつつ、侵略戦争のそしりを回避するために国家の弁明の格好の材料として東京裁判を持ち出すのです。彼らは結局、アジア・太平洋戦争を自衛戦争とする「東京裁判史観」に浸っているのです。よって、東京裁判を「事後法」として否定している者こそ東京裁判に「毒されている者」なのです。彼らはいつも同じ話をしています。東京裁判が実は大好きなのです。
民主主義者
2009/01/04 07:54
民主主義者さん,今日は。
>確かに「事後法」云々を持ち出せば、東京裁判は不成立です。ならば、東京裁判のコンテクストに左右されずにアジア・太平洋戦争を論ずればよいだけです。

>事後法の法理で裁判をしているとして東京裁判を否定しつつ、侵略戦争のそしりを回避するために国家の弁明の格好の材料として東京裁判を持ち出すのです。彼らは結局、アジア・太平洋戦争を自衛戦争とする「東京裁判史観」に浸っているのです。

成る程。確かに東京裁判史観を否定するのに,東京裁判を使っていますね。

私は別の見方から,「東京裁判史観」なる主張をする人達に疑問を持っています。
その人達は,度々「敵国」の首相チャーチル氏や,「敵国」の将軍マッカーサー元帥や,「敵国」の裁判官パール判事等の文章や発言を引用します。靖国神社にパール博士顕彰碑を建てていますね。パール博士には感謝しますが,博士の判決文を誤読しないことが大切であると考えています。
日本国の歴史は自分の思考と日本人の文章・発言を元にして語って欲しいと思います。
藍愛和
2009/01/04 18:01
 「東京裁判史観」にどっぷりと浸った彼ら「東京裁判」否認者は、事後法として東京裁判を否定しています。そして、確かにパール判事は「平和に対する罪」を否認しています。「東京裁判史観」にどっぷりと浸った彼ら「東京裁判」否認者は、このことを安直に持ち出し、日本国家の免罪と誤解します。こうした誤解こそ「東京裁判史観」なのです。パールは日本の侵略行為が裁判に照らしての「無罪」すなわち「違法ではない」ことを主張しているだけです。しかし、このことは言うまでもなく判事としてのパールの限界です。パールは日本のなしたアジア・太平洋戦争自体は是認していません。「東京裁判史観」にどっぷりと浸った彼ら「東京裁判」否認者は、事後法である「侵略戦争」の咎を阻却するため、被告サイドが主張したようにアジア・太平洋戦争の自衛性を主張しています。
 歴史を特定の裁判で語るなと言いつつ、東京裁判の論理に浸った主張をする彼らの語るアジア・太平洋戦争の歴史は矛盾に満ち、奇異であり、滑稽でもあります。
民主主義者
2009/01/08 21:13
民主主義者さん,今日は,
>パールは日本のなしたアジア・太平洋戦争自体は是認していません。

そうですね。パール判決書のどこにも日本の昭和戦争における日本の正当性を是認する文章はないと思います。それ等を是認するなら,第二次世界大戦時の対日戦争における連合国の正当性は当然否定されるからでしょう。
藍愛和
2009/01/12 13:45
この記事と無関係ですが,ある実験のためにこのコメントを作成しました。
藍愛和
2011/12/25 20:12

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