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zoom RSS 北清事変・その五

<<   作成日時 : 2006/04/23 16:38   >>

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北清事変(1900(M33)/5-1900/9)に関する最終議定書について、引き続き「明治百年史叢書 小村外交史 外務省編 原書房」及びインターネット等を参照しながら、紹介することにします。その四では、争乱の清国側責任者達への処罰について書きました。今回は、事変の再発防止という名目で、連合国側が如何に中国利権を拡大したかを検証することにします。植民地主義的で軍国主義的な外交が世界的な規模で機能したのはこれが最後の事件であったと思います。世界各国を巻き込んだ、戦争行為と外交交渉が複雑に交錯するような次の事件は第一次世界大戦でありますが、その頃には最早植民地主義や軍国主義とは違った人間観・価値観・歴史観・世界観、要するに新しい哲学によって人々は考え、行動し、問題の解決を図ろうと努力する趨勢が生じました。従って、列国の政策、行動も亦この世界の流れに乗る方向で実行しようとする動きが生じました。それと共に、この流れに危機感を抱いて、従来の哲学に固執し、自国社会の一部民衆の新しい哲学に基づく動きを邪悪なものとして弾圧し、歴史の流れに逆行する動きも亦生じました。この転換点となった、北清事変については今後とも充分研究する必要があるでしょう。

”小村外交史”よりの引用:
北清事変に関する最終議定書(一回目) http://aiaiwa.at.webry.info/200604/article_1.html
に引き続いての引用であります。

北清事変に関する最終議定書(二回目)
 第五条
清国は兵器、弾薬及び専ら兵器、弾薬の製造に使用せらるべき材料を清国版図内に輸入するの禁止を承諾したり。而して二箇年間該輸入を禁止する為八月二十五日の上諭(附属書第十一号)を発布せられたり。嗣後尚列国に於いて之を必要と認むる場合には更に上諭を以て前期の期限を引き続き二箇年宛延長することを得。
 第六条
清国皇帝陛下は千九百一年五月二十九日の上諭(附属書第十二号)を以て列国に四億五千万海関両の償金を支払うことを約諾せられたり。此の金額は即ち千九百年十二月二十二日の連名公書第六条に指定したる国家、団体、個人及び清国人に対する償金の総額を表示するものとす。
(甲)此の四億五千万両は左に示すが如き海関両の列国金貨に対する相場に基づき計算したる金貨債を組成するものとす。
一海関両は
  三、〇五五「マルク」
  三、五九五墺洪国「クウロンヌ」
  〇、七四二金弗
  三、七五〇「フランク」
  〇、三志〇片
  一、四〇七円
  一、七九六蘭国「フロレン」
  一、四一二金「ルーブル」(品位一七、四二四
                   「ドリア」)
に相当す。
清国は右金貨債額に年四分の利子を附し別紙償還表(附属書第十三号)に示せる条件に従い三十九箇年を以て其の元金を支払うべきものとす。
元金及び利子の支払いは金貨を以てするか若しくは各支払い期日に於ける為換相場を以てすべし。
元金償還は千九百二年一月一日に始まり、千九百四十年の末に終わる。償還金は毎年之を支払うべきものとし、其の第一回の払い込み期限を千九百三年一月一日と定む。
利子は千九百一年七月一日より起算す。然れども清国政府は千九百一年十二月三十一日に終わる第一期六箇月分の利子を千九百二年一月一日以後三箇年の期限内に支払うことを得。但し右延期額に対しては年四分の重利を附すべきものとす。
利子は六箇月毎に支払うべきものとし、其の第一回の払い込み期限を千九百二年七月一日と定む。
(乙)公債支払いは左記の方法に依り上海に於いて之を行うべし。
列国は各一名の委員に依りて銀行者委員会に代表せらるべし。該委員会は特に之が為に指定せられたる清国官吏より利子及び元金の支払いを受け、之を各関係者に配分し且つ之に対して領収証を交付すべき任務を有するものとす。
(丙)清国政府は北京駐在筆頭公使に償金総額に対する一の債券を公布すべし。而して右債券は追って特に之が為に指定せられたる清国政府委員の記名せる少額債券に変換せらるべきものとす。右の事務及び債券の発行に関する一切の事務は列国が其の代表員に下すべき訓令に準じ前記委員会に於いて之を処理すべし。
(丁)債券の支払いに充てたる財源より生ずる収入は毎月之を委員会に交付すべし。
(戊)債券の担保に供せる財源を列挙すること左の如し。
 第一 新税関の収入を抵当としたる旧外国債の利子及び元金を払いたる上、存する該収入の剰余金に海路輸入品に対し現行税率を現実五分税に引き上ぐるより生ずべき収入を加えたるもの。但し、外国より輸入の米、穀類、穀粉、金銀貨及び金銀地金を除くの外従来無税にて輸入せらるる各物品は総て五分税を払うべし。
 第二 開港場於いては新税関の管理に属する旧税関の収入
 第三 塩税の収入総額但し従来外国債の担保に充てられたる分を除く。
現行輸入税率を現実五分税に引き上ぐることは下記の条件を以て承諾せられたり。この税率引き上げは本議定書調印の日付より二箇月後に之を実施し、而して右日付より遅くも十日以内に運搬の途上に上りたる商品の外其の適用を免かるることを得ざるものとす。
 第一 従価にて徴収し来れる輸入税は為し得る限り且つ成るべく速やかに従量税に改訂すべきものとす。此の改訂は左の如くすべし。即ち千八百九十七年、千八百九十八年及び千八百九十九年の三箇年間に於ける各商品陸上げ当時の平均価格換言すれば輸入税及び雑費を控除したる市価を以て評価の基礎とす。但し右改訂の結了を見るに至る迄の間は従価にて徴税すること。
 第二 白河及び黄浦江の水路は清国の経費分担を以て之を改良すること。
 第七条
清国政府は各国公使館所在の区域を以て特に各国公使館の使用に充て且つ全然公使館警察権の下に属せしめたるものと認め該区域内に於いては清国人に住居の権を与えず、且つ之を防御の状態に置くを得ることを承諾したり。此の区域の境界は別紙図面(附属書第十四号)に示す如く定められたり。即ち
 西方は 一、二、三、四、五線
 北方は 五、六、七、八、九、十線
 東方は 「ケツテレル」街の十、十一、十二線
 南方は 韃靼城壁の南址に循い城垜に沿って
               画したる十二、一線
清国は千九百一年一月十六日の書簡に添付したる議定書を以て各国が其の公使館防御の為に公使館所在区域内に常置護衛兵を置くの権利を認めたり。
 第八条
清国政府は大沽砲台並びに北京と海浜間の自由交通を阻碍し得べき諸砲台を削平せしむることを承諾したり。而して右に関する処置は実施せられたり。
 第九条
清国政府は千九百一年一月十六日の書簡に添付したる議定書を以て各国が首都海浜間の自由交通を維持せむが為に相互の協議を以て決定すぺき各地点を占領するの権利を認めたり。即ち此の各国の占領する地点は黄村、郎房、楊村、天津、軍糧城、塘沽、蘆台、唐山、灤州、昌黎、秦王島及び山海関とす。
 第十条
清国政府は二箇年間地方の各市府に左記の上諭を掲示公布することを約諾したり。
(甲)排外的団体に加入することを永久に禁止し、犯す者を死刑に処する旨を記載したる千九百一年二月一日の上諭(附属書第十五号)
(乙)有罪者に科したる刑名を列挙したる千九百一年二月十三日、二月二十一日、四月二十九日及び八月十九日の上諭
(丙)外国人が虐殺せられ若しくは虐待せられたる各市府に於いて科挙を停止する千九百一年八月十九日の上諭
(丁)総督巡撫及び各省各地方の官吏は各其の管轄内に於ける秩序に対して職責を有すべく且つ排外的紛擾の再発並びに其の他条約違反の事あるに当たり、直ちに之を鎮定せず、又は其の犯罪者を処罰せざる場合には該官吏は直ちに罷免せらるべく、且つ新官職に任命せられ若しくは新名誉を享受すること能わざるべき旨を宣言したる千九百一年二月一日の上諭(附属書第十六号)
以上の上諭は全帝国内に漸次掲示せられつつあり。
 第十一条
清国政府は外国政府が有用と認むる通商及び航海条約の修正並びに通商上の関係を便利ならしむる為その他の通商事項に関し商議すべきことを約諾したり。
清国政府は償金に関する第六条中の規定に基き今より左記の如く白河及び黄浦江水路の改良に協力することを約諾したり。
(甲)千八百九十八年清国政府の協同を以て創始せられたる白河航路の改良工事は各国委員の管理の下に再興せられたり。天津に於ける行政の清国政府に返還せられたる上は清国政府は直ちに自己の代表者を該委員に加うることを得べく、且つ工事の維持費として毎年六万両を支出すべし。
(乙)黄浦江更正及び其の水路改良工事の指揮監督を掌るべき水路局を設置す。該局は上海の海路貿易に於ける清国政府の利益と外国人の利益とを代表する委員を以て組織す。経営の事業及び一般の事務に必要なる費用は最初二十箇年間は毎年四十六万両と見積もり清国政府と関係者たる外国人とに於いて各其の半額を支出すべし。水路局の組織、職権及び収入等に関する細則は附属書中に之を記載す(附属書第十七号)。
 第十二条
千九百一年七月二十四日の上諭(附属書第十八号)を以て列国の指定したる旨趣に因り外交事務衙門たる総理衙門を改革せられたり。即ち総理衙門を外務部と改めて他の六部の上位に置くことと為し、而して又前記の上諭を以て外務部の主要なる官吏を任命せられたり。
外国代表者の謁見に関する宮廷の礼式に関しても亦既に商定を経たり。此の件に関する清国全権委員の書簡数通あり。別紙覚え書きに其の要点を摘載す(附属書第十九号)。
終わりに前記の各宣言及び列国全権委員より発せられたる附属文書に関しては仏文を以て憑と為すことを特に約定す。
斯くの如く清国政府は列国の満足する如く千九百年十二月二十二日の連名公書に列挙せられたる各条件に遵応したるを以て列国は千九百年夏季の騒擾より発生したる状態の終止に至らむことの清国の希望を承充したり。之に因て列国全権委員は第七条に記載したる公使館護衛兵を除き千九百一年九月十七日を以て北京より全然列国軍隊を撤退し又第九条に記載したる地点を除き同年九月二十二日を以て直隷省より撤兵すべきことを其の各自の政府の名を以て茲に宣言す。
本最終議定書は同文十二通を作り各締結国全権委員之に署名し列国全権委員に一通宛を交付し、清国全権委員に一通を交付す。
  千九百一年九月七日北京に於いて
    十一列国全権委員各署名
    二清国全権委員各署名(署名略)
 (附属書は略す)

[コメント]北清事変に関する最終議定書を最後まで転記し終わって、当時の十億の中国民衆の姿に、角も蹄も切り取られ、畜舎に繋がれて、賠償金と利権という名のミルクを死ぬまで絞り尽くされるという悲惨な乳牛を連想せざるを得ません。そして、そのミルクを搾り取る十一列国の中に我が母国日本の姿を見る時、同じアジアの民衆の内の一日本人として誰が激しい自己嫌悪と後悔とを感じないで居られましょうか。一般中国民衆に何の罪がありましょうや。植民地主義者の冷酷非情で強欲な行動こそこの世に存在する最大の国家犯罪であります。
今だに、止むに止まれぬ正義の戦争を唱える一部勢力があります。彼等は戦争による利権獲得という国家犯罪行為を犯さないと約束出来るのでしょうか。戦争は必ずしも犯罪でないという説に、百歩を譲って、道理があるとしても、戦争による利権獲得は絶対に犯罪であるべきです。
(記入:06/04/23 16:20 藍愛和)

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