日本の対外戦争と世界の情勢

アクセスカウンタ

zoom RSS 日清戦争・その六

<<   作成日時 : 2005/12/07 21:18   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

日清戦争当時の日本と諸外国との外交交渉について、
 日本外交文書 第二十七巻 
 自明治二十七年一月至明治二十七年十二月 その一・その二
等を参照しながら、調べたいと思います。その五では事項十の 7/31六八七 までを引用しました。今回は事項十四 日清戦争列国調停に関する件 から引用します。以下の記述で日付は全て 1894(M27)年内の日付です。日付の後の漢数字は文書番号です。

8/12七八四 露国駐在西徳二郎公使より陸奥外相宛 露国の朝鮮事変に於ける挙動は若干の歩騎砲兵を其の国境に繰り出し又ウラヂワストークより別に三艘の軍艦を朝鮮海に派遣せしに止まり居る様子に伺われ候 朝鮮に於ける権力の日本に偏依するも其の好まざる所なれば日清交戦の結果を傍観し局面の一変と英国の巨文島等での挙動如何とに応じ成るたけ外交手段を以て自己の利益保護の所望を達するの底意と伺われ候 
露国新聞紙の一件は「ノーウヲエウレーミヤ」、「グラジダニン」二紙に日本公使館の作成物を其の社員の報知として記載せしむる事に致し置き候 
日清の開戦については此の地社会一般の感情は我が方に贔屓勝ちと相見え候へ共多くは自己の利益を説きて露国政府の意見を賛成する方にて之有り云々 

8/31七八七 西公使より陸奥外相宛 英露の仲裁に関する露国政府の態度打診の件 次官シーシキン氏は拙官の英露仲裁受け入れ難しとの陳述に別に異議唱えず、仲裁は英国の申し出なりとのこと シーシキン氏は初めより我が方贔屓の方にてひとまず清兵を破り所望の結果を得らるるを望む等の話も之有り云々 露国は露土の戦争中英国が窃かにシープル島占領を企てし如き事の到来せんことを警戒し云々 
9/25七八八 西公使より陸奥外相宛 英国は干渉の意図なしとの駐英内田臨時代理公使の意見転送の件
9/30七八九 西公使より陸奥外相宛 露国諸新聞紙の日清戦争に関する論評報告の件 朝鮮問題に関する当地諸新聞紙の論評に付いては両国宣戦の後我海陸軍連戦連勝の後全く従前とはその趣を異にし今日は朝鮮の独立を主張し英国の挙動を非難し却って我邦に対し好意を呈するの傾向之有り云々

(以下長文の引用がありますが、日本勝利と日本の於かれている立場についての記述等のみ、要点を現代語訳します。)

「ノーウヲエウレーミヤ」新聞 敗戦の清国軍兵は李鴻章の配下に属し清国陸軍中最も精鋭であると称されていた。しかし日本兵はその数が遙かに清兵に劣り、且つ遠征隊で、敵兵の要塞に攻め入ったにも拘わらずこのような大勝を博したのは、蓋し日本兵が欧式に訓練されていたことに原因があるとしなければならない。

「グラジダニン」新聞 吾輩の考察によれば日本の戦端を開いた最近因は清国もしくは露国が(西欧諸邦に流布する悪評のように)朝鮮を占領することを恐れたのではない。全く日本は文明国中の一国として充分成熟したことを世界に表彰し、外邦の抑制を排除し国権の伸張を謀り、以て一国の威厳を保全しようとすることに在る。
換言すれば日本は最近半世紀間に文明の事業に刻苦勉励し、今や合格の試験を受けようとすることに他ならない。日本は戦争を措いて他に此の目的を達成する方法を発見することができないが故に、今回清国との衝突は政略的の戦争ではなく、寧ろ発達的な戦争であると言わざるを得ない。
人口僅か四千万に過ぎない一小島国が人口三億五千万有余の大陸国に向かって突然戦争を宣告したということは極東の事情に通じていない人には一時奇怪の思いを引き起こすは必定である。
欧州人には日本を軽るんずる傾向があったが、三十有余年前即ち 1858年以降日本は欧州諸邦と締結した通商その他の条約により牽制されるという拘束を脱却しようと企図しこの年月間に驚くべき長足の進歩を達成した。

目下陸軍は十五万人を有しその軍制が完全であることは今次の戦争に於いて既にこれを証明し、海軍はその名誉を全うして「トラフアルガル」海戦即ち木製船を甲鉄艦に改造した時代以来未曾有の海戦に於いて全勝を博し世界の海軍歴史に一紀元を刻んだ。快走巡洋艦が運動不自由な甲鉄艦に勝るという特例を示したのは実に日本海軍の功績である。欧州の旅行者は皆日本の教育を賞賛し、警察の組織に至ってはその完全であること世界中他に類例を見ない。

清国は軍艦を欧州に注文したけれど、日本は自国の造船場及び武器庫において之を製造もしくは艤装している。その他各種の製造場は逐年隆盛に赴き、産品中頗る完全の域に達したものがある。

前述の如く日本は既に覆い隠すこの出来ない進歩をしたにも拘わらず外国との諸条約によりいまだにその手足を自由にすることが出来ない。政治上このように不便な地位に立ちながらこのように進歩を成し遂げたということはいかにも驚くべき事実である。そして海関税は現に外国の命令を受け未だ全く此れを回復することができない。逐年増加する国費は単に此れを農民の負担となし、諸灯台の建設におよそ五百万ドルを費やし、毎年の保管費も亦二十万ドルを降らないとは言え、一外国人と雖も此れに一銭たりともその義務を果たさずにいる。一外国船と雖も入港税その他を支払うこともない。更に日本は外国人に対し法権を持たない。日本に於ける財政及び司法の独立は締結十六ヵ国との条約によって制限せられている云々。

[コメント]文書七八九のこの報告は色々と興味深い。「ノーウヲエウレーミヤ」、「グラジダニン」二紙は文書七八四に既に記述されています。外交合戦の裏側を如実に示す文書であります。
「ノーウオチ」新聞は英仏露三国が全清国を分割占領して保護国とすべし、などの恐ろしい論述をしているとのことです。日本がその五十年後何故世界相手に戦争をするに至ったのか、その疑問を解く鍵を見出すことができるような気がします。それと共に、悲惨なことには、日本が激しく非難した不平等条約を朝鮮、中国に対して強制しています。日本人の中には日朝、日清間条約は双方の合意に基づくものだと主張する人も居ますけれど。日本と欧米列国との不平等条約も双方の合意によるものではなかったでしょうか。
歴史上日本のこの自己矛盾、即ち自分への差別を拒否するために他者を差別するという不合理を日本人自身で断ち切らない限り、世界中の誰も日本人を真の友人とはしないでありましょう。日本人の勇気が試されています。
(記入:05/12/07 22:00 藍愛和)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
日清戦争・その六 日本の対外戦争と世界の情勢/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる